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され、行政全体の情報化の底上げ・新たな展開が必要との認識が各方面から高まったのである。

すなわち、我が国においてはバブルの崩壊後、91年の後半頃から行政の情報化の促進を期待する声が高くなり、92年から93年にかけて経済界をはじめとする各種の団体等から公的分野の情報化投資を求める意見要望が相次いだ。この間アメリカでは、93年2月クリントン大統領が情報基盤整備の基本方策を明らかにし、同年9月にはさらに具体的な情報スーパーハイウェイ構想(NII構想)が打ち出され、我が国でも大きな論議を呼ぶこととなった。

このような流れの中で、93年6月、産業構造審議会情報産業部会はその報告において特にアメリカや民間に比べ立ち遅れが著しい分野として、行政、教育、医療、研究等の公共分野をあげてその情報化の推進を促すとともに、情報化に向けた新たな社会資本整備の必要性を強調した。同じく電気通信審議会提言でも、社会資本整備の重要な要素として情報通信基盤整備の促進が取り上げられた。また、同年7月には、総務庁の行政情報化懇談会が行政の情報化推進を、行政の事務・事業及び組織を通ずる行政のシステムを改革するための重要なツールとして位置づけ、その新たな展開に向けて種々の問題提起を行った。

同年10月、臨時行政改革推進審議会(第3次行革審)はその最終答申の中で、行政の情報化を行政改革の一環として取り上げ、そのたち遅れを指摘して、行政情報化の政府全体としての計画的推進、各省庁間の情報の総合的利用と国民サービスの向上、情報化に伴う行政の執務システムの変革等を提言した。

この行革審答申を受け、94年2月に閣議決定されたいわゆる平成6年度行革大綱において、行政の情報化の積極的な推進を図るため、政府として中期的、計画的に取り組む推進計画を策定することとされ、行政の情報化は、政府の基本的施策の一つとして位置づけられるに至った。

政府は総務庁の調整のもと3月から推進計画の策定に入り、94年12月25日の平成7年度行革大綱において、「行政情報化推進基本計画」が閣議決定された。行政機関にコンピュータが導入されてから30年以上になるが、政府の施策として、中期的展望のもとに全省庁を通じ計画的に情報化を推進することとされたのは始めてであり、まさに画期的な進展と言えよう。

このように、現在、行政の情報化が大きく推進されている経緯を見ると、行政分野の

 

 

 

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